役に立たない都市~città inutili~

都市と芸術と音楽が好きな大学生の日記

東京大改造マップ2020-20XXを読んで思った8のこと


ブログタイトルに「都市」が入っているので、さすがに都市について書きますね。

 

今回は日経アーキテクチャから発行された《東京大改造マップ2020-20XX》を読んで感じたことをリストアップします。勉強不足の人間が偏見コミコミで書きます。きっと一月後には意見がコロッと変わっているかもしれないです。

 

 

東京大改造マップ2020-20XX (日経BPムック)

東京大改造マップ2020-20XX (日経BPムック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: ムック
 

 

 

あと、第1刷が2020/2/21だったんですけど、雑誌ってこういうものなんですかね?買ったのはちょうど先週くらいです。まだ購買にあるかな?分かんないです。

 

 

 

 

1.都市開発ってほとんど民間の仕事

この本の冒頭には、東浦亮典氏(東急)、渡邉浩司氏(国交省)、齋藤精一氏(ライゾマティクス)、藤村龍至氏(建築家)の四人による対談が掲載されています。読んでいて全然ついていけなかったんですが、いくつも気付かされたことがありました。

 

今や当たり前な話かもしれないですが、東京の都市開発はほとんど民間主導で、官は規制緩和や特別措置法でそれを後押しする形になっているようです。現在は東急が渋谷の大改造を行っていますよね。少し前の話だと、三菱地所が丸の内のオフィス街を作り変えたり、東武スカイツリーで押上周辺をガラッと変えてしまったのもいい例なのですかね。

 

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丸の内地区https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E3%81%AE%E5%86%85

 

バブル崩壊後に限界が見え始めた公共事業に代わって、森政権が民間活力を利用して都市再生を試みたのが近年の流れの始まりなようです。正直現代史の知識が不足しすぎて、開発事業のパワーバランスの推移が全くわからないのがキツイです。もっと勉強しないとなあ……。

 

齋藤氏が指摘していましたが、現在も政府が「ウォーカブルシティ」やら「スマートシティ」やら「SDGs」やら「Society5.0」やら色々と掲げていますが、そもそも住民が本当に街に求めているものが見えてない気がします。発展が加速し続ける科学技術を取り入れるために、民間の力がより重要になっていきますが、国と企業が向かい合っているだけではよりよいエリアマネジメントに繋がらない。その地にいる人々に目を向けて、新しい合意形成のやり方を探すべきだと思います。

 

とにかく、都市を取り囲む様々なバックグラウンドを理解した上で自分の進路を考えないと、後々後悔してしまいそうで怖いです笑笑

 

2.開発の中心は湾岸→港区→日本橋

今年はついにオリンピックイヤーですね。それに合わせて動いていた数々の開発プロジェクトが次々に完成に至る予定です。会場施設としては、64年大会で利用された建物の改修されたものと、今回の為に新しく建てられたものの2つパターンがあります。前者は国立競技場や代々木体育館などですね。後者は海の森や辰巳の森公園などの湾岸エリアに建てられたものがほとんどです。また、競技施設はそのまま利用されるみたいですが、晴海埠頭の選手村は跡地に新しい街を作るHARUMI FLAGというプロジェクトがあるようです。それに付随して小学校もできます。

 

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オリンピック招致時の鳥瞰図https://xtech.nikkei.com/kn/article/building/news/20130110/598432/?SS=imgview&FD=-291102932

 

何より、オリンピックの競技施設は実は既存のものを利用したものが多く、案外新築のものは少ないです(会場一覧https://tokyo2020.org/jp/games/venue/olympic/)。では、オリンピックレガシーなるものも少ないのかというとそうではなく、オリンピックにあやかって作られた数々の建物はレガシーとなるかもしれません。雑に作られたホテルとか。

 

また、湾岸エリアの問題といったらやはり交通ですね。無いこともないんですが、いかんせん都心に出づらい。よって、オリンピックに合わせて、京成バスから東京BRTという新路線が始まるようです。また、都心から東西に湾岸エリアを貫く新地下鉄の計画もあるみたいです。

 

そういった湾岸エリアの開発の次は、虎ノ門ヒルズを中心とした再開発や高輪ゲートウェイ

浜離宮のお隣竹芝、そして品川駅や泉岳寺駅などの様々なプロジェクトを抱える港区が中心となります。

 

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森ビルによる虎ノ門再開発https://www.mori.co.jp/company/press/release/2016/04/20160413143000003194.html

 

どの開発も環境や景観に配慮した都市デザインを目指している気がします。それが実現するかはまた別の問題ですが。

 

また、最近ニュースになったのは日本橋の上を通る高速道路の地下化ですよね。これがきっかけというわけではないようですが、江戸時代から栄えたこの日本橋の伝統を再興させながら、新しい街を作るプロジェクトが始まるようです。中でも、約390mの超高層ビルが建つ東京駅前常盤橋プロジェクトは大きな目玉になるでしょう。この高さは東京タワーやあべのハルカスを越え、日本の建造物の高さ第二位に躍り出ます。

 

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東京駅常盤橋プロジェクトイメージ図https://officee.jp/magazine/tokyo-tokiwabashi-2027/

 

まあ、高速道地下化も超高層ビルも少々大風呂敷な気もするので、プロジェクトの遅れや中止は想像に難くないと思われます。

 

 

3.やっと分かったライフスタイルホテル

 

近年、インバウンド需要の高まり受けて日本各地でホテルがどんどん増えています。そうなると供給過多や競争激化は避けられなくなるでしょう。そこで目をつけられたのは、ライフスタイルホテルという新しいホテルの形です。

 

本書の言葉を借りると、ライフスタイルホテルとは、「利用者それぞれの日常生活の延長線上で、宿泊はもちろん、食事をしたり仕事をしたり、イベントに参加して多様な人との交流を楽しんだりと、自由な過ごし方を受け入れる新しいタイプのホテル」です。

 

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アンダーズ東京の客室https://www.ikyu.com/00002011/

 

ちょっと贅沢なプランになるかもしれないですが、居心地が良ければ喜んで高い金額を払うという層を狙っているで、客単価も高く、高収益が見込めます。こういったホテル内部の環境を高いレベルで構築するやり方は、均質化された東京の街中で差別化をするのに適していると思われます。

 

ライフスタイルホテル、名前はデザイン雑誌や旅行誌などで取り上げられてるイメージで実際どんなものか分かりませんでしたが、やっと理解できた気がします。

 

未だライフスタイルホテルは外国資本によるものが大きく、輸入品という感じがしていますが、料亭や旅館のおもてなし文化と掛け合わせた日本独自のホテルに昇華させて欲しいですね。

 

あと自分も金持ちになって、ここでゆったりとした時間を過ごしたいです。

 

4.高輪ゲートウェイが高輪ゲートウェイになったのってそういうことなのかも

 

山手線ではおよそ50年ぶりの新駅として期待されていましたが、その命名で世論を大きくズッコケさせた高輪ゲートウェイ。はたから見たら確かにダサいしズレている。しかし、このネーミングにはこの地区の開発に力を注いできたJR東日本の熱い想いが込められているのだと思います(だったら名前を公募するなよという話ですが)。

 

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高輪ゲートウェイ駅イメージ図https://www.fashion-press.net/news/16477

 

ゲートウェイはまさに門(gate)につながる道(way)というわけで、都心と羽田空港とのアクセスが良く、グローバル時代における東京の結節点となりうる場所として発展させようという構想がありました。そういった「品川開発プロジェクト」の街開きとしてJR東日本が賭けたのが高輪ゲートウェイなのです。

 

さらにこの高輪ゲートウェイ駅、最新のIoT技術がふんだんに取り入れられた新時代の駅でもあります。太陽光パネルや新素材の天井膜を利用して省エネと環境保全に貢献。さらにAIによる無人決済可能な店舗。そして自動巡回する警備ロボや清掃ロボなど、かなりSFな世界を感じさせるものばかりです。

 

だったらなぜデザインアーキテクトを隈研吾にしたのか本当に疑問です笑笑笑 「和」を感じるデザインとして折り紙や障子をモチーフにしながらも木材を美しく使うって、、、 こんなのは隈研吾の常套手段で似たような建築は今の東京中どこにもあるんですよ笑笑

 

新しさを前面に押し出すなら定年間近のベテラン建築家でなくて、未来を担う若手建築家に仕事して欲しかったですね!!藤本壮介とか石上純也とかにデッカいのをバッと作らせたら、国内の評価ももっと上がると思うんですけどね。

 

デザインの文句はこれくらいにして、高輪ゲートウェイには、ゲートウェイ構想と最新のIoT技術が詰め込まれているというメッセージが込められているのですね。まあ、分かってても名前に賛同はできませんが。

 

5.一億総クリエイター社会の実現へ

 

21世紀に入ってから、ニコニコやFlashに始まりピクシブYouTube、インスタ、TikTokなどの様々な場で人々が創作を楽しむようになり、この潮流を指して「一億総クリエイター社会」と呼ばれるようになりました。

 

この流れによって創作活動がより身近になり、その価値も認められつつあると思います(ツイッターとかで絵師の人などのボヤき漫画が拡散されてますよね)。

 

その流れはバーチャルな世界だけでなく、リアルな世界にも言えることです。現在はクリエイターの創作活動を応援することで街の価値を高めていく動きが見え始めています。

 

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SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTUREhttps://visit-chiyoda.tokyo/app/spot/detail/670

 

例えば、秋葉原御徒町間や京急の大森〜梅屋敷間の高架下に、クリエイターと交流できる場所や商品を手にできるショップが作られています。西日暮里駅では「学び」の文化を軸に、落ち着いて勉強や交流ができるカフェスペースや、ダンスや音楽を学べる教室などがあるようです。

 

創作活動がよりフィジカル的な価値を持ち、顔と顔を合わせた自然な交流が日常的に生まれて始めることで、一億総クリエイター社会が実現するのだと思います。

 

6.グリーンインフラって大丈夫?

この辺りからほぼ不安や文句になります笑笑

 

まずはグリーンインフラについて。エコシティやウォーカブルシティの実践的な形はまさにグリーンインフラでしょう。グリーンインフラとはそもそも、生態系サービスを、熱環境や大気循環、排水機能などを良くするインフラ設備の一部として整える動きです。

 

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竹芝地区開発計画のイメージ図https://www.kajima.co.jp/news/press/201605/26a1-j.htm

 

しかし、都市計画を見ているとその自然利用は景観整備にのみ適用されているばかりで本質を見失っている気がします。緑があって、みんないい気持ち、それでOKみたいな。そんな軽い意識で緑を配しているような気がします。酷いものでは、容積率の確保のためにとりあえず作ったオープンスペースに緑を置いただけのものもあるようです。

 

里山文化まで巻き戻せとは言いませんが、江戸時代の自然共生文化を見直して、100年以上緑を維持できるようなシステムを真剣に考えるべきです。

 

7.容積率ってあればいいものなの?

 

この本で少しずつ出てきたワードでもありますが、「ポスト容積率」という言葉があります。現在も容積率=利益として、規制緩和をクリアすることで数多くの高層ビルを実現していると思います。それに待ったをかける考え方がポスト容積率。ある容積率をパンパンに使い切るのではなく、より自由に空間を作っていくべきだと、私も賛成です。

 

先程あげた日本橋近くの再開発は、地中に道路が通るので容積率緩和の恩恵をかなり受けると思います。しかし、超高層ビルに挟まれた川辺の環境がかつての時代のように良いものになるとは思えません。人々の憩いの場にどれくらい日が当たり、どんな空気が流れるのかまで考えて開発をするべきでしょう。

 

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赤坂にありながら容積率を大きく抑えたとらや本店https://www.toraya-group.co.jp/toraya/shops/detail/?id=5

 

さらに、本書冒頭の座談会で指摘されたように、開発では建物を作ってそれで終わり、という時代では今はないということにも、ポスト容積率は繋がってくると思います。

 

残念な建築家は建物のデザインや構造に拘り、その場所性や歴史を蔑ろにして個性を出そうとします。建物は、都市というある種の生命体のセルであることは言うまでもないと思います。ポスト容積率が重要になるにしたがって、その建物と周りの環境を分ける閾が曖昧になるでしょう。つまり建築家は「建」物を「築」く仕事では無くなってくるということなのだと思います。

 

このことは建築学科に居たら気づくのがもっと遅くなっていた気がします笑笑  落ちて土木に来て良かったかな笑笑

 

8.完成しない横浜駅と謎の山下埠頭

東京大改造マップといいながら、横浜にも本書は触れています。私は現在横浜に住んでいるので触れない訳にはいかないでしょう。

 

日本のサグラダファミリアと揶揄されるほどに延々と工事している横浜駅ですが、ついに今年新しいJRタワーがオープンします。どこに行っても工事現場みたいな壁と電球しかない空間に辟易していたので、本当に嬉しいです。

 

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NEWoMan横浜のイメージ図https://www.fashionsnap.com/article/2018-11-22/yokohama-newoman/

 

駅ビル内のNEWoManの環境デザイナーとして田根剛氏が仕事をしているようです。横浜の田村明と名前が似てるなあと勝手思って調べたら、東海大の北海道キャンパスで建築を学んでいたと聞いて急に親近感が湧きました笑笑 現在拠点はパリにあるみたいですが、是非北海道に作品を残して欲しいです!

 

そして謎の山下埠頭。開発地の面積すら決まっていないのになぜか開発地のとしてリストアップされておきながら、詳細は全く載っていません。

 

おそらくIR施設でしょうね!!!笑笑 この段落は勉強不足の自分が適当に書いているのでスルーしてください!今かなり揉めていますが、個人的に横浜市はIRをゴリ押すと思っています。だってどう考えても儲かる。事業そのものはおそらく失敗しないでしょう。高いショバ代だけ貰えれば、海外資本でも横浜的にはいいのかもしれないですね。IRについてはもっと勉強してまたブログに取り上げたいと思います。

 

まとめ.ニュースの裏を読まなければならない

まとめる前に、ここまでかなり雑に書きましたことをお許しください。冒頭で述べたように、これは勉強不足の人間が書いた偏見コミコミの文章です。

 

そんな自分でも間違いなく言えるのは、与えられた情報(ニュース)の裏を読むのは非常に重要だということ。そのためには歴史や地理的素養はもちろん、経済や政治の教養が必要になるでしょう。大学で学びは過去のものがほとんどだと思いますが、それを存分に生かして現代社会の考察を深めていきたいですね。以上

 

 

 

おまけの曲紹介

現代東京についてめちゃくちゃ書いたので、それにぴったりのCMソングを紹介します。躍動するパラ選手のバックに流れるラップがカッコいいですよね。Apple Musicのプレイリスト「東京音楽駅一番線」は最高なので是非聞いてください。

東京 ~ NTTドコモ Style'20 (feat. 5lack) [Full Version]

東京 ~ NTTドコモ Style'20 (feat. 5lack) [Full Version]